1. K's今日の1曲
  2. New Wave / Post Punk
  3. Grain By Grain / Arto Lindsay (Cuidado Madame 収録)

 Arto Lindsayアート・リンゼイ)が2004年の『Salt』以来13年ぶりとなるソロアルバム『Cuidado Madame』(邦題:『ケアフル・マダム』)を2017年1月6日にリリース。"Each To Each"はアルバムの1曲目。

・GRAIN BY GRAIN - Arto Lindsay | Cuidado Madame (2017)


 グシャッとしたビートにポストパンク的なベースにノイズ。そこからオリエンタルなメロディが入り優しげなアートの歌が始まる。すごくヘンテコな曲なんだけど、ポップ。アルバムを再生して一番最初の出だしの部分で一気に心を持ってかれた。

 アルバムの参加メンバーは、以前からよく活動を共にしてきたメルヴィン・ギブス(ベース)に加え、ポール・ウィルソン(キーボード)、カッサ・オーバーオール(ドラムス)、パトリック・ヒギンズ(ギター)、マイク・キング(オルガン)という若手のジャズ系のミュージシャンを起用。

 録音はニューヨークとリオデジャネイロ。エレクトリックなサウンドとジャズ的アプローチ。アヴァンギャルドでキレのいいギター、そして全体に流れるブラジルのエッセンス。アート・リンゼイと言えば、No Waveを代表するバンド、DNAだったり、フェイクジャズ・The Lounge Lizards、Ambitious Loversから始まる自身のルーツであるブラジル(3歳から17歳まで住んでいて、現在も在住。カエターノ・ヴェローゾやガル・コスタ、マリーザ・モンチなどのプロデュースも行っています)音楽と、様々な顔を持っていますが、本作にはそのどれも入っていて、アートリンゼイ入門としても最適な1枚なのではないでしょうか。本作と同時に廃盤となっていた『Prize』、『Invoke』、『Salt plus Two』も再発されたらしいので、気に入った方はそちらもチェック。

 以下、トリビア。アルバムタイトル「Cuidado Madame」は1970年に作られたJúlio Bressane監督によるブラジル映画(英題:「Beware, Madame」。日本版のタイトルと微妙に違いますね。。。)から取られたもの。YouTubeに上がってたので貼っておきます。ポルトガル語がわかる方はどうぞ。

・Cuidado Madame (Julio Bressane, 1970)


 またアルバムジャケットに映る美術品は、タイ王国現代アート芸術家のRirkrit Tiravanija(リクリット・ティーラワニット)のものだそうです。
 

Arto Lindsay -『Cuidado Madame』収録曲リスト
1. GRAIN BY GRAIN
2. EACH TO EACH
3. ILHA DOS PRAZERES
4. TANGLES
5. DECK
6. VÃO QUEIMAR OU BOTANDO PRA DANÇAR
7. SEU PAI
8. ARTO VS. ARTO
9. UNCROSSED
10. UNPAIR
11. PELE DE PERTO
・Apple Musicで試聴&ダウンロード


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2017年02月07日(火)
  1. K's今日の1曲
  2. New Wave / Post Punk
  3. Restless / New Order (Music Complete 収録)

 New Orderニュー・オーダー、純然たるオリジナルアルバムとしては2005年の『Waiting for the Sirens' Call』から10年ぶりとなるアルバム『Music Complete』(全英1位・全米34位)からの1stシングル"Restless"。

・New Order - Restless (Official Video)


 アコースティックなギターの音とちょいエレクトロがかったサウンドに哀愁のあるメロディが載るいかにもニュー・オーダー的な曲ですね。期待以上とは言わないけど、期待にはしっかり応えたものになってます。エクスカリバー伝説をモチーフにそれを現代風(でもレイヴっぽい感じは80年代後半〜90年代前半な雰囲気)にしたミュージックビデオも良いです。


 今シングル、アルバムのトピックとしては何と言ってもJoy Division時代からのオリジナルメンバーであるPeter Hookピーター・フック)不在の作品であること。今や公の場でニュー・オーダーの活動をディスりまくりのフッキーですが、自分もジョイ・ディヴィジョンナンバーをやるライブやったりとなんだかなぁ、な感じ。もういい歳のオッサンなんだからくだらない争いは止めてほしいですが(笑)

 とりあえず、2015年現在のメンバーはこんな感じ。

Bernard Sumner(バーナード・サムナー) – lead vocals, guitar, synthesisers
Stephen Morris(スティーヴン・モリス) – drums and percussion, keyboards, programming
Gillian Gilbert(ジリアン・ギルバート) – keyboards, guitars
Phil Cunningham(フィル・カニンガム) – keyboards, guitars, electronic percussion
Tom Chapman(トム・チャップマン) – bass, synthesisers

 新加入のトム・チャップマンはバーニーがちょっと前にやってたバンド、Bad Lieutenantでベースをしてた人ですね。ベースのフレーズ的にはよくわかりませんが、音の作りはフッキーぽい感じになってる感じがします。後は、ジリアンの復帰。アルバムは"Restless"以外は結構エレクトロサウンドが前面に出てるんですが、ジリアンの趣向が影響してるなんて話もあります。ジャケットのアートワークはPeter Savilleピーター・サヴィル)だし、フッキーの復帰(ダジャレ!)で完全なニュー・オーダーになってほしいところですが・・・

 アルバムには、The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)のTom Rowlands(トム・ローランズ)や、The Killers(ザ・キラーズ)のBrandon Flowers(ブランドン・フラワーズ)、La Roux(ラ・ルー)のElly Jackson(エリー・ジャクソン)などがゲスト参加。Ian Curtisイアン・カーティス)が好きだった(亡くなった時に彼のターンテーブルには『Idiot』が乗っていたと言われています)、Iggy Popイギー・ポップ)も参加している点も注目。

 最後に、UKを代表するインディーレーベル、Factoryの看板アーティストだった彼らが、今作から同じく名門レーベル、Muteに移籍しているのもトピックの一つですね。とにかくトピックがいっぱいな作品ですが、過去の名盤に勝るとは言わないけれど、語るに価する力作なんじゃないかと思います。


New Order -『Music Complete』収録曲リスト
1. Restless
2. Singularity
3. Plastic
4. Tutti Frutti (featuring Elly Jackson 'La Roux')
5. People On The High Line
6. Stray Dog (featuring Iggy Pop)
7. Academic
8. Nothing But A Fool
9. Unlearn This Hatred
10. The Game
11. Superheated (featuring Brandon Flowers)
・Apple Musicで試聴&ダウンロード


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KRAFTY / NEW ORDER (WAITING FOR THE SIRENS' CALL 収録)
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I’ll Stay With You / New Order (Lost Sirens 収録)
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2015年10月23日(金)
  1. K's今日の1曲
  2. New Wave / Post Punk
  3. Pressure Off / Duran Duran (Paper Gods 収録)

 Duran Duranデュラン・デュラン、通算14作目のアルバム『Paper Gods』をリリース。アルバムチャートで全英5位、全米10位を獲得。"Pressure Off"はアルバムからの1stシングル。

・Duran Duran - Pressure Off [OFFICIAL 360 LYRIC VIDEO]


 一聴しただけでそれとわかるNile Rodgersナイル・ロジャース)のギターカッティングをフィーチャーした曲で、コーラスにはJanelle Monáeジャネール・モネイ)も参加しています。これを書いている時点ではPVはありませんが、YouTubeで公開されているリリックビデオが、マウスでドラッグすると360度回転する面白いものになっています。


 アルバム『Paper Gods』は、今をときめくMark Ronsonマーク・ロンソン)や先述のナイル・ロジャースに、Mr.Hudsonなどをプロデュースに迎え、シングル「Pressure Off」って先行シングルのタイトルや歌詞にも表れてるように、過去の経歴を気にせずなんだか自由に作ったらできちゃいました的なアッパーなノリがあっていいですね。日本ではまだ知名度はないですが、昨年からUKではヒットを飛ばしているKieszaや、アイドルのリンジー・ローハンの他、元レッチリのジョン・フルシアンテMewヨーナス・ビエーレなんて王道からインディーロック好きまで気になるアーティストがゲスト参加してるのも注目です。

 そういや、アルバムのジャケットのアイスクリームを見て、今年リリースされたBlurの『Magic Whip』のジャケを思い出したとこで、最近のデュラン・デュランのライブ映像を見たら、なんかサイモン・ル・ボンデーモン・アルバーンに見えてビックリ。UK ROCKイケメンの系譜って感じです。そのジャケのイラストですが、唇は『Rio』のジャケットから、帽子は同じく『Rio』のラスト曲"The Chauffeur"(運転手)を表し、虎は『Seven and the Ragged Tiger』だったりと、Duran Duranを象徴するモチーフが詰まっています。他のイラストが何を示すのか探してみると面白いですよ。ちなみに、アイスクリームの正解はシングル"Perfect Day"から。

・Duran Duran - "Pressure Off" (Live From Winfield House London)


 さて、後は来日公演を期待するのみ。過去にサマソニでチラ見したことはありますが、ぜひワンマンを見てみたいです。


Duran Duran -『Paper Gods』収録曲リスト
1."Paper Gods" (featuring Mr Hudson)
2."Last Night in the City" (featuring Kiesza)
3."You Kill Me with Silence"
4."Pressure Off" (featuring Janelle Monáe and Nile Rodgers)
5."Face for Today"
6."Danceophobia" (featuring Lindsay Lohan)
7."What Are the Chances?" (featuring John Frusciante)
8."Sunset Garage"
9."Change the Skyline" (featuring Jonas Bjerre)
10."Butterfly Girl"
11."Only in Dreams"
12."The Universe Alone"

・Apple Musicで試聴&ダウンロード


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2015年10月08日(木)
  1. K's今日の1曲
  2. New Wave / Post Punk
  3. Mad Truth / The Pop Group (Citizen Zombie 収録)

 元祖ブリストルサウンド、再結成The Pop Groupザ・ポップ・グループ)がオリジナルアルバムとしては1980年の『For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?』以来となる3rdアルバムCitizen Zombie』をリリースします。"Mad Truth"はそのアルバムからのシングル曲。

・The Pop Group - Mad Truth (Official Video)


 ちょっとトロピカルな雰囲気のあるポスト・パンク。いやぁ普通にカッコイイですねこれ。ミュージックビデオもカッコイイ。このPVを手がけているのはイタリア出身の女優で映画監督のAsia Argentoアーシア・アルジェント)で、ホラー映画の巨匠Dario Argento(ダリオ・アルジェント)を父に、女優のDaria Nicolodi(ダリア・ニコロディ)を母に持つ人らしいです。ヴォーカルのMark Stewartマーク・スチュワートは彼女のことを「The priestess of provocation」(挑発の女司祭)と形容して賛辞を贈り、アーシアも35年ぶりのシングルの監督に選ばれたことに感謝を述べています(YouTubeより)。


 アルバムのほうは2015年2月23日、Freaks R Usよりリリースされます。プロデュースはPaul Epworthポール・エプワース)。ポールと言えば、The FutureheadsやBloc Party、Maxïmo Parkなんて、言ってしまえばポップ・グループの子供達的なバンドを多く手がけていたりと、なかなか良い人選ではないでしょうか。アルバムのリリースに合わせ、来日も決まっています。こちらもZazen BoysやZENI GEVAのKK NULLなどいかにもなメンツがサポートを務めるので楽しそうですね。初の単独来日ということで既にチケットはソールドアウト。前にサマソニに出たし、フジロックではマークのソロもあったし、フェスでまたきて欲しい!

The Pop Group -『Citizen Zombie』収録曲リスト

1. Citizen Zombie
2. Mad Truth
3. Nowhere Girl
4. Shadow Child
5. The Immaculate Deception
6. s.o.p.h.i.a.
7. Box 9
8. Nations
9. St. Outrageous
10. Age Of Miracles
11. Echelon
12. Citizen Zombie 2 ※国内盤ボーナス・トラック


The Pop Group 来日公演2015日程
日時:2015/3/1(日)
会場:東京LIQUIDROOM
出演:The Pop Group
Support Act:ZAZEN BOYS / KK NULL



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2015年02月05日(木)
  1. K's今日の1曲
  2. New Wave / Post Punk
  3. England's In My Bones / Gang Of Four (What Happens Next 収録)

 ポストパンクバンド、Gang Of Fourギャング・オブ・フォー)の2015年2月リリースとなる9作目『What Happens Next』収録曲"England's In My Bones"。The Killsザ・キルズ)のAlison Mosshartアリソン・モシャート)をヴォーカルに迎えた曲です。

・Gang of Four feat. Alison Mosshart - "England’s in My Bones" (Official Video)


 先に抜けたベースとドラムの2人に加え、2012年にヴォーカルのJon Kingジョン・キング)が脱退しちゃっていて、オリジナルメンバーとしてはギターのAndy Gillアンディ・ギル)のみというギャング・オブ・フォーならぬギャング・オブ・ワン状態。アンディのギターさえあればいいって向きもありますが、John "Gaoler" Sterryジョン・ジェイラー)という若者だけでは物足りなかったか(2013年に彼を含むライブを見ましたが、力不足は否めなかった。。)アリソンの手ならぬ喉を借りたって感じでしょうか。出来栄えの方は上のリンクでご確認ください。

 さらにアルバムにはアリソンの他に、ドイツの歌手ヘルベルト・グレーネマイヤーThe Big Pinkのロビー・ファーヴ、日本からは布袋寅泰がゲスト参加しているよです。ひょっとしたらジェイラー君ががんばってるかもしれないので、期待してアルバムを待ちましょう。リリースはアメリカで2015年2月24日、イギリスで3月2日発売予定です。

Gang Of Four - 『What Happens Next』収録曲リスト

1. WHERE THE NIGHTINGALE SINGS
2. BROKEN TALK
3. ISLE OF DOGS
4. ENGLAND’S IN MY BONES
5. THE DYING RAYS
6. OBEY THE GHOST
7. FIRST WORLD CITIZEN
8. STRANDED
9. GRAVEN IMAGE
10. DEAD SOULS


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2015年01月23日(金)
  1. K's今日の1曲
  2. New Wave / Post Punk
  3. One Drop / Public Image Ltd (This Is PiL 収録)

 John Lydonジョン・ライドン)率いるPublic Image Ltdパブリック・イメージ・リミテッドPIL)が2009年の再始動を経て、2012年5月に、実に20年ぶりとなる通算9作目『This Is PiL』を発表しました。バンド自身の出資により設立された「PiL Official」(ジョンがバター(Country Life butter)のCMで稼いだ金で作ったとか言われるやつですね)からのリリース。全英35位。

 "One Drop"はアルバムからの先行してレコード・ストア・デイ用にEPとしてリリースされた曲。ワンドロップと言えばレゲエの有名なリズムが思い出されますが(1拍目にアクセントがなく、3拍目のみがスネアドラムのリムショットとバスドラムによって強調されるドラム)、直接的にレゲエって感じではなく、どちらかというとアクセントとしてその要素が使われてる感じ。韻を踏んだ歌詞も含め、ジョンのリズムに関してのこだわりが感じられますね。"We come from chaos, you cannot change us"って歌詞がこれぞ「This Is PIL(This is John Lydon?)」を表してる気がします。

 ちなみにジョンはこの曲について、「「One Drop」はフィンズベリー・パーク時代の、とても若かった頃についての曲だ。最高だね。ハロー! 気分はすっかりティーンエイジャー!というところにご注目さ。実年齢はさておき、いつでも若くあるべきだよ。」と語っています。手作り感溢れるPVも良い。

 スティーヴ・ウィンウッドが所有する英コッツウォルズのスタジオにてレコーディングされた今作。制作メンバーはこんな感じ。
John Lydon - vocals
Lu Edmonds - guitar, saz, banjo, backing vocals
Scott Firth - bass guitar, synthesizer, backing vocals
Bruce Smith - drums, backing vocals

 元POP GROUP、Rip Rig + Panicのブルース・スミスに、元The Damnedのルー・エドモンズ、そしてプロデューサーとしても活動するスコット・ファースという再始動時のメンツですね。前回の来日時にサマソニと単独の両方を見たんですが、演奏は文句なし。ちなみに昨年のフジロックで、オリジナルメンバーのキース・レヴィン(Gt.)とジャー・ウォブル(Ba.)によるユニット、METAL BOX IN DUBを見たんですが、正直後ろ向きな印象しか受けなかったので、下手に呼びも出さなかったジョンを支持します。ま、ただ単に仲が悪いだけだろうけど・・・(笑)

 もうすぐ来日。再始動からまた3年程経ってるので、このメンバーでの演奏はさらにいいものになってる予感!

■Public Image Ltd 2013 来日日程
4月2日(火) 名古屋 CLUB DIAMOND HALL
4月3日(水) 大阪 なんばHATCH
4月5日(金)、6日(土) 東京 SHIBUYA-AX

・Public Image Ltdの『This Is PiL』を試聴&ダウンロード⇒This Is PiL - パブリック イメージ リミテッド


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2013年03月31日(日)
  1. K's今日の1曲
  2. New Wave / Post Punk
  3. I’ll Stay With You / New Order (Lost Sirens 収録)

 New Orderニュー・オーダー)が通算9枚目となる新作『Lost Sirens』をリリース(全英23位)。新作と言っても実際は主に2005年のアルバム『Waiting for the Sirens' Call』のレコーディング時に出来た曲を集めたものらしい。(だからロスト・サイレンズなのね・・・)

 "I'll Stay With You"はアルバムの1曲目。のっけからニュー・オーダー節満点。元々線の細いヴォーカルだからってのもあるけど、バーナード・サムナーの声って全然歳とらないですね。

 先述のようにほとんどが前作から選に漏れた曲ばかりだけど、どの曲も一定以上のクオリティを誇ってるとこがさすがという感じ。どの曲もメロディがたってるし。まぁでもさすがに、ニュー・オーダーをこれから聴こうと言う人にはオススメはできないかな。一般的に見てのクオリティであって、ニュー・オーダーの代表曲になりうる曲はない。その他の名盤を押さえた後に聴く事をおすすめします。

 ピーター・フックの復帰はないかもしれないけど、今のメンバーでもいいのでさっさと純粋な新作を作って来日でもしてください。フェスばっかりでワンマンが全然ないのでぜひ。最後のワンマンが1987年ってどういうこっちゃ・・・

■New Order 『Lost Sirens』 収録曲
1. I'll Stay with You
2. Sugarcane
3. Recoil
4. Californian Grass
5. Hellbent
6. Shake It Up
7. I've Got a Feeling
8. I Told You So" (Crazy World Mix)

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BLUE MONDAY / NEW ORDER (SUBSTANCE 収録)
KRAFTY / NEW ORDER (WAITING FOR THE SIRENS' CALL 収録)
Sunrise / New Order (Low-life 収録)
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2013年03月08日(金)
  1. K's今日の1曲
  2. New Wave / Post Punk
  3. Fairytale in the Supermarket / The Raincoats (The Raincoats 収録)

 1977年、パンク旋風吹き荒れるロンドンにて、Ana Da Silva(アナ・ダ・シルヴァ)とGina Birch(ジナ・バーチ)の2人を中心に結成されたThe Raincoatsザ・レインコーツ)の79年発表のデビューシングル"Fairytale in the Supermarket"。

 同年リリースの1stアルバム『The Raincoats』(英インディーチャート5位)のオリジナルリリース時には収録されていませんでしたが、再発盤に追加収録されました。プロデュースは、Red Krayola(レッド・クレイオラ)のMayo Thompson(メイヨ・トンプ ソン)とRough Tradeの創設者Geoff Travis(ジェフ・トラヴィス)。

 シンプルなギターとベース、The Slits(ザ・スリッツ)のPalmolive(パルモリヴ)によるこれまたシンプルなドラム。音はパンクな佇まいですね。すっかすかで、ヘタウマだとか、というかヘタヘタだとか、いろいろ言われますが、やる気とアイディアさえあれば人の心に響く作品が作れるというまさにパンク精神って感じ。「スーパーマーケットの中のおとぎ話」っていうタイトルからして勝ちな気がする。

 まぁ私が彼女たちの魅力を語るよりも、彼女たちの大ファンを公言し、90年代のCD再発&再始動のきっかけを作った(再発盤のライナーノーツも担当)当時人気絶頂だったNirvana(ニルヴァーナ)のKurt Cobainによるコメントを紹介。

「実のところ、僕はレインコーツのこ とを何も知らない。彼女たちが僕の心を突き動かす音楽を作ったということ以外は。だから、聴いているといつも、自分がものすごく不幸で孤独で退屈していた 人生の一時期のことを思い出す。レインコーツのファースト・アルバムのガリガリ音を立てるアナログ盤をプレイヤーに載せる贅沢がなかったら、僕にはこれっぽっちの平安も訪れなかっただろう。」
――カート・コバーン(ニルヴァーナ:1993年)


 このシングルと1stアルバムをリリースし、その後はアナとジナ以外は流動的なメンバー構成のまま2nd『Odyshape』と3rd『Moving』と1枚のライブ盤『Kitchen Tapes』を残して解散。音楽的に広がりを見せていく2ndと3rdも、1stのピュアネスに負けないくらい名作です。尚、再始動後、1996年には4th『Looking in the Shadows』もリリースしています。

 とまぁそんなレインコーツですが、何と現在、初来日ツアーの真っただ中。私は明日の最終日、下北沢のBasement Barでのライブを見に行く予定です。楽しみ♪

●contrarede presents
THE RAINCOATS Japan Tour 2010

6/16(wed)  Shibuya, O-WEST w/ Phew × 向島ゆり子 / M.A.G.O.
6/17(thu)  Nagoya, APOLLO THEATER w/ SIKA SIKA
6/18(fri)  Osaka, FANDANGO w/ 少年ナイフ
6/19(sat) Shimokitazawa,BASEMENT BAR w/ Tenniscoats

 最後に、レインコーツに対するミュージシャンからのコメントを紹介。

「もう終わりだよ。ロックンロールは クソだ。陰気だね。じいさんが踊ってたくらいだ。俺はもう興味がない。音楽は過去最低の水準にまで達したと思う。レインコーツ以外はね。」
――ジョン・ライドン(パブリック・イメージ・リミテッド:1980年)


「私はスリッツが大好きだった。彼女 たちは大胆で、コマーシャルな曲もあったから。でも、一番しっくりきたのはレインコーツだった。どこにでもいそうな子たちが非凡な音楽をやっている感じ。自然体であるがゆえに異なった個性が結合する余地を与えられた音楽。」
――キム・ゴードン(ソニック・ユース:1993年)


・The Raincoatsの楽曲を試聴&ダウンロード⇒The


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2010年06月18日(金)
  1. K's今日の1曲
  2. New Wave / Post Punk
  3. Wrong / Depeche Mode (Sounds Of The Universe 収録)

 イングランドはエセックス、バジルドン出身のロックバンド、Depeche Modeデペッシュ・モード)の前作『Playing The Angel』以来、約4年ぶり12枚目のフルアルバム『Sounds Of The Universe』がついに世界発売(日本盤は22日発売)。この"Wrong"はその最新作からの先行シングル。プロデュースは、前作同様、Blurの『Think Tank』やDovesとの仕事で知られるBen Hillier(ベン・ヒリエ)。

・Depeche Mode — Wrong (music video)


 ダークで重厚なエレクトリックサウンドにのせてVo.デイヴ・ガーンの深みのある声がのるデペッシュ・モード印の楽曲。通奏低音としてなるぶっといシンセベースと高音で鳴り響く金属音のような音に気持ちが掻き毟られるますね。背徳的な雰囲気をかもし出す歌詞と、曲の世界観をあらわしたような不穏な雰囲気のPVも良いですね。

"Made the wrong move, every wrong night"
"With the wrong tune played till it sounded right yeah"
「正道を踏み外した夜を毎晩すごし 調子外れの曲を奏で続けていたんだ
 正しい音を出せるまでずっと、そうさ」
という歌詞が痺れます。

 アルバムのほうは、NYやサンタ・バーバラでレコーディング。アナログ・シンセサイザーやドラム・マシーンといったヴィンテージな楽器を多用し、レトロ・フューチャリスティックな作風になっています。エレクトリック・ゴスペルとでも形容できそうな冒頭の"In Chains"やマーティンがヴォーカルをとるバラード"Jezebel"、ハードなギターの聴ける最終曲(日本盤はこの後、ボートラが付きます)"Corrupt"等が個人的にはお気に入りです。

 ソロアルバムも発表しソングライティングにも目覚めたVo.デイヴが今作でも"Hole To Feed"、"Come Back"、"Miles Away/The Truth Is"の3曲を提供。また日本盤のボーナス・トラックやBOXセットに収録されている"oh well"はデイヴとマーティンの初の共作曲だそうです。ちなみにフレッチは、デイヴ曰く「スタジオでどんな作業をやってたか覚えてない」らいしい(笑)

一応、下記に現在のメンバーを。
・DAVE GAHAN / デイヴ・ガーン (Vo.)
・MARTIN GORE / マーティン・ゴア (G/Synth/Programming)
・ANDY FLETCHER / アンディ“フレッチ”フレッチャー (Keys)

 そして、『ツアー・オブ・ザ・ユニバース』と名づけられた世界ツアーも日程が発表されています。5月6日のルクセンブルグでのウォーム・アップ・ギグの後、10日のイスラエルを皮切りにヨーロッパ各地を回り、5月30日にはUKはロンドンの02アリーナ、7月からはカナダからアメリカ大陸に上陸し、8月3日、4日はニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン2日間、17日にはロサンゼルスのハリウッド・ボウル2日間等が予定されています。

 現在、2010年2月6日のモスクワ公演まで決まってるそうなので、日本に来るとしても来年以降となるそうです。というか、来てくれるんでしょうか・・・。欧米のスタジアムクラスの人気に比べて日本ではいまいちのようなので、大型の野外フェスでいいので来てくれないかなぁ。できればStudio Coastとかで観てみたいけど。

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●『Sounds Of The Universe』収録曲
1. イン・チェインズ / in chains
2. ホール・トゥ・フィード / hole to feed
3. ロング / wrong
4. フラジャイル・テンション / fragile tension
5. リトル・ソウル / little soul
6. イン・シンパシー / in sympathy
7. ピース / peace
8. カム・バック / come back
9. スペースウォーカー / spacewalker
10. パーフェクト / perfect
11. マイルス・アウェイ/ザ・トゥルース・イズ / miles away / the truth is
12. ジザベル / jezebel
13. コラプト / corrupt
14. オー・ウェル / oh well  ※日本盤ボーナス・トラック

●日本盤デラックス・エディション DVD
1. Sounds Of The Universe [A Short Film] (10.05)
2. Wrong (promo video - 3.16) (監督:パトリック・ドーターズ)
3. Sounds Of The Universe in 5.1 surround sound
4. In Chains - Minilogue's Earth Remix
5. Little Soul - Thomas Fehlmann Flowing Ambient Mix
6. Jezebel - SixToes Remix

また、輸入盤限定のBOXセットもあるそうです。
上記のCDに加え、Disc2に未発表曲とリミックス、Disc3にこれまでのキャリアのdemo音源、Disc4にDVDがセット。さらに84ページのハードカバー・スペシャル・ブックレットが2冊付。
1冊目:全曲歌詞+ANTON CORBIJIN(アントン・コービン)によるエクスクルーシヴ写真
2冊目:スペシャル写真集 (by DANIEL MILLER, BEN HILLER, LUKE SMITH, FERG PETERKIN)
※エナメル・バッチ / ポスター / ポスト・カード付!

●限定BOXセット disc2以下の収録内容
・ディスク2
Bonus tracks
1. Light (non-album)
2. The Sun and the Moon and the Stars (non-album)
3. Ghost (non-album)
4. Esque (non-album)
5. Oh Well (non-album)
Remixes
6. Corrupt (Efdemin remix)
7. In Chains (Minilogue's Earth mix)
8. Little Soul (Thomas Fehlman ambient mix)
9. Jezebel (SixToes remix)
10. Perfect (Electronic Periodic Dark Drone mix)
11. Wrong (Caspa remix)

・ディスク3
Demos
1. Little 15
2. Clean
3. Sweetest Perfection
4. Walking in My Shoes
5. I Feel You
6. Judas
7. Surrender
8. Only When I Lose Myself
9. Nothing's Impossible
10. Corrupt
11. Peace
12. Jezebel
13. Come Back
14. In Chains

・ディスク4
1. VIDEO: Making The Universe / Film (45.23)
2. VIDEO: Usual Thing, Try And Get The Question In The Answer (55.12)
3. VIDEO: Sounds Of The Universe [A Short Film] (10.05)
4. VIDEO: Wrong (promo video)
5. STUDIO SESSIONS: Corrupt (4.08)
6. STUDIO SESSIONS: Little Soul (3.52)
7. STUDIO SESSIONS: Stories Of Old (3.24)
8. STUDIO SESSIONS: Come Back (6.05)
9. 5.1 surround sound MIXES: Light (Audio) - BONUS TRACK
10. 5.1 surround sound MIXES: The Sun And The Moon And The Stars (Audio)
11. 5.1 surround sound MIXES: Ghost (Audio)
12. 5.1 surround sound MIXES: Esque (Audio)
13. 5.1 surround sound MIXES: Oh Well (Audio)

カテゴリ : New Wave / Post Punk ・ comments(0) K 
2009年04月21日(火)
  1. K's今日の1曲
  2. New Wave / Post Punk
  3. Get on Your Boots / U2 (No Line on the Horizon 収録)

You don’t know how beautiful you are♪

 全世界で900万枚以上を売り上げた前作『HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB』(原子爆弾解体新書)から約4年半、アイルランド出身の世界最大のロックバンド、U2が通算12作目となるオリジナルアルバム『No Line on the Horizon』をリリース。

・U2 - Get On Your Boots (Official)


 アルバムからの先行シングルとなった"Get on Your Boots"は、イントロから鳴り響くアダム・クレイトンのブリブリ唸りを上げるファズベースがたまらくかっこいい曲。ボノのHip Hopを通過したようなリズミカルなヴォーカルも、そこからサビにかけてのコーラスの美しさ&ボノの叫びの対比もイイ。時折聞こえるエッジの金属的なギター音もカッコイイです。

 この曲のPVは、"Vertigo"でも監督を務めたAlex Courtesによるもので、制作費は5億円だとか。ま、慈善活動も盛んなU2なので、「ビデオにこんな制作費をかけるならそれを寄付すればいいじゃん」って批判もでそうですが、そんなのは野暮の極みかと。こういう突っ込みどころ満載で突き進む感じが世界最大のロックバンドU2のU2たる所以な気がします。

 この『No Line on the Horizon』は、当初Rick Rubin(リック・ルービン)プロデュースで制作が開始されたものの、それらの楽曲は全てお蔵入りとし、新たにBrian Enoブライアン・イーノ)とDaniel Lanoisダニエル・ラノワ)、そしてSteve Lillywhiteスティーヴ・リリーホワイト)という最強の布陣で制作。

 レコーディングは昨年、モロッコのフェズから始まり、その後ダブリンのバンド自身のスタジオ、NYのプラチナム・サウンド・レコーディングスタジオと場所を移し、最終的にはロンドンのオリンピック・スタジオで完成されたそうです。

 ボノいわく、「今までの楽曲とは全く違うサウンドだし、今世の中に出ている楽曲とも全く違うサウンドだよ」とのこと。

 印象的なジャケット写真、は日本人写真家の杉本博司の連作「Seascapes」(海景)のひとつ。「海を最初に見た人間はどのように感じたか」というコンセプトで撮影されたもの。海と空が一直線に交わる、まさにそこには境界線(国境?対立?)はない、U2の目指す世界が広がっているということでしょうか。

 それにしてもこの作品、正直U2の新作でここまで感動する自分がいるとは思わなかった。かつてU2が経てきた音楽性を保ちながらも、新しいサウンド。アンビエントな雰囲気と官能的で刺激的な要素もある。"Get on Your Boots"にもでてくる歌詞「Let Me In The Sound」が遠くから聞こえる"Fez: Being Born"などを聴いてもらえば一発でわかると思います。"White As Snow"のアコースティックな静謐さもすばらしい。

 初めてU2を聴いたのが高校生のころ『POP』収録の"discotheque"で、賛否両論あったものの当時は十分刺激的だったし、その後さかのぼって聴いた『WAR(闘)』(←U2で一番好き!)や『Achtung Baby』のような衝撃はもうないと思ってただけにこんな作品に出会えるとは思ってなかった。
(もちろん前2作もよかったんだけど・・・。後、実は『焔(ほのお)』〜『The Joshua Tree』期は苦手です))

 とにかく、「21世紀最大のロックバンド」は、ColdplayでもLinkin ParkでもなくやはりU2でした、といいたくなるような1枚です。

・U2 - 『No Line On The Horizon』収録曲
1. No Line On The Horizon
2. Magnificent
3. Moment of Surrender
4. Unknown Caller
5. I'll Go Crazy If I Don't Go Crazy Tonight
6. Get On Your Boots
7. Stand Up Comedy
8. Fez - Being Born
9. White As Snow
10. Breathe
11. Cedars Of Lebanon

海外では、初回限定CD+DVDボックス・ヴァージョンも発売されるそうです。
DVDには、U2を撮り続けてきた写真家・映画監督アントン・コービンによるフィルム『LINEAR』が収録されるとのこと。

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2009年03月03日(火)